休日のんびりご近所散歩

↑JR池袋駅メトロポリタン口より徒歩5分、『自由学園明日館(みょうにちかん)』は大正10年(1921)に、羽仁吉一・もと子夫妻が創立した自由学園の校舎として、「近代建築の三代巨匠」の一人、フランク・ロイド・ライトの設計により建設された。現在の校舎は1999年(平成11)3月から2001年(平成13)9月まで保存修理工事が行われ、同年11月に再開業したもの。

◇連載第1回「自由学園明日館」の巻〜その1◇

 フランク・ロイド・ライトという名前を初めて知ったのは、中学生の頃。サイモン&ガーファンクルのアルバム「明日に架ける橋」のライナーノーツでした。「フランク・ロイド・ライトに捧げる歌」という美しい曲を聞きながら、これはきっと、どこか遠い世界の芸術家の話なのだと思っていました。
 それから10年、建築にまるで興味のなかった私に、建築家という存在を強烈に印象づけたのが、サントリーのCMで見たアントニ・ガウディ。
 当時はまだインターネットなど普及していませんでしたから、少しでも彼を知りたいと思い、池袋のリブロ(書店)でガウディの本を探しました。そして、そこで偶然見つけたのがライトの作品集だったのです。貧しかった私は、ガウディの本と一緒に一番“薄くて軽い”ライトの本を買い求めました。それでも、私には十分過ぎるほど刺激的なものでした。落水荘、グッゲンハイム美術館、旧帝国ホテル…。
 その本と出会い、初めて私の頭の中で「建築」と「芸術」がひとつになったのです。
 それからさらに10年、新宿の編集プロダクションに勤めていた私は、同じオフィスを間借りしていた建築家の本棚で、“分厚くて重い”ライトに巡り会いました。その本に収められた夢のようなスケッチ群を夢中になって眺めていると、ライトの熱烈なファンであるという、くだんの建築家がライトについていろいろな話をしてくれました。
 不遇であった時代や日本でのこと、浮世絵のこと、波乱に富んだ私生活のこと、有機的建築の意味…。ちょうどその頃、岩波ホールで上映されたライトのドキュメンタリーを見に行き、初めて動くライトを見て感激したのを憶えています。
 さらに月日が流れて20数年、2012年6月に、私は自由学園明日館の前に立っていました。「フランク・ロイド・ライトに捧げる歌」を口ずさみながら…。(不定期に連載)
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